水槽用ポンプ能力と流量と揚程と配管口径について

 

先日購入問い合わせという事で下記電話を頂戴しました。

 

DEP-4000の購入を考えています。
4mの高さまで水を汲み上げたいのですが、その時どの位水が流れますか?
4,000L/時間で最大揚程3.5mと記載されているので、4mでも3,000L/時間位出ますよね?

各種実験を重ねて実際のオーバーフロー水槽で使用した際の流量をご紹介しているのは、どのメーカーの能力曲線図も素人には判りにくく、結局どのポンプを購入したら良いのか判らないからです。

 

実験を紹介する事で、ポンプの基本特性の事を理解頂けるかな?と期待をしておったのですが、そもそもポンプの事を理解されていないケースが有ると気付かされましたので、素人では有りますが、判りやすくかつ簡易な言葉でポンプの特性に関してご紹介させて頂きたいと思います。

 

まずは、大事な3つの単語をご紹介します。

 

流量 揚程 口径

流量:有る時間の間に水が流れる量の事です。

 

良くポンプのパッケージの裏面や取扱説明書に下の様なグラフが載っているかと思いますが、その時に横軸に記載されているのが流量です。

※一般的にL/分かL/時間で記載されています

 

揚程:ポンプが水を汲み上げる事が出来る高さの事です。

 

先程同様、縦軸に記載されているm(メートル)が揚程です。

 

もし最大揚程○○mと記載されていたら、それ以上の高さまで水を汲み上げる事は出来ません。〇〇mの時の流量は0です。

※実際には他の要因も有り、○○mと記載されているその限界まで水を組み上げることは出来ません。

 

 

 

口径:水が流れる配管やホースの内径の太さの事です。

 

ここでいきなりの質問です。

内径16mmホースとVP13(塩ビ配管で内径(水の通る所)が13mmのもの)では、どちらが水が通る場所の太さは太いでしょうか???

上のホースコネクターの断面図をご覧下さい。

 

"内径16mmのホースが接続可能"と記載しているホースコネクターは”D"の寸法が16mmという事です。

 

そこが水の流れる箇所の寸法でしょうか?

 

答えはもちろんNOです。

 

水の流れる所の寸法は"D1"です。

 

ちなみにこのホースコネクターのカタログ寸法では、D=16mm,D1=11mmとなっています。

 

よって、同じポンプを使用してVP13と内径16mmホースを使って送水した時には、VP13接続の方が水が多く流れるのです。

 

同じポンプで沢山流量を流そうと考える時には、これとても重要です。

 

なんどかブログで記載しておりますが、大事なのはポンプのサイズだけでは無いのです、どれだけ太い配管やホースで接続するか?がとってもとっても重要なのです。

 

 

最大流量

下記グラフをご覧ください。

 

見て判ると思いますが、揚程0の時が最大流量になっている事が判ると思います。

※40L/min以上の流量が有ることが見て取れます。

 

どのポンプメーカーも型番や最大流量と記載されている項目にここの流量を記載している事が多いです。

 

※実際に揚程0に近い領域で水槽用のポンプを使われるケース無いですよね?

グラフを見て判る通り、ポンプは組み上げる高さ(揚程)が高くなればなる程、流量が減っていきます。 

 

高さ4mに近い点では流量が0になっている事が判ると思います。

 

簡単に纏めるとこういう事です。
揚程0の時に最大流量が流れ、最大揚程の時に流量は0になる。

 じゃー単純にオーバーフロー水槽のポンプと吐出口の高さの差で有る1.2m位の揚程(高さ)の交点を結んだ所の流量が流れるのか?と言えば全くそんな事有り得ません。

 

再度、上記グラフをご覧下さい。

 

この性能曲線図を見て、「よしよし、オーバーフロー水槽の吐出口の高さは1.2m位だから多めに見て1.5m(揚程)との交点の30L/分(1,800L/時間)の流量が期待出来るんだな」と勘違いしては絶対ダメです。

 

幾つかのサイトには、”ここでの流量を確認した後、2サイズ位大きめのポンプを選んで下さい。”みたいに記載しておられますが、「結局どれ選んだら良いの?」ってなりますよね?

 

ちなみに、上記ポンプをVP13サイズ吐出口を持つオーバーフロー水槽に内径16mmのホースで接続した時の流量は、1,338L/時間です。(実測値:期待量との差462L)

 

予想以上に少なくないですか?

 

「じゃーこの性能曲線図なんの為に記載されてるの?」ってなりません?

 

別にこのポンプの性能曲線図がインチキな訳では有りません。多数のポンプを実験させて頂いておりますが、このポンプはとても性能の良いポンプです。

 

結局どうやってオーバーフロー水槽用のポンプを選べば良いのか?

 

ここまで書いてきて申し訳ございませんが、実際は使用条件を模擬して流量を計測してみるしか無いんです。

 

実験結果から唯一判っている事は、、、

 

どのポンプでも、上記のように流量と揚程の交点から流量を読み取った値より、絶対に少ない量しか流れない。

という事だけです。

 

 

沢山のポンプを様々な条件で実験しその計測結果を公表しておりますので、ご自身の水槽に近いと思われる接続状況の実験を確認し参考にして頂けますよう宜しくお願い申し上げます。

 

新しく水槽立ち上げたいけど、ポンプサイズ選びや配管計画困っている方いらっしゃれば遠慮無く連絡頂けますよう宜しくお願い申し上げます。

 

もちろん、当方からポンプを購入頂けますと幸いです。。。。

 

info.saffdesign@gmail.com